なぜ重要か
比重計は液体の密度に応じて浮き、液体の密度は温度で変わります。温かい麦汁は密度が低いので比重計は深く沈み、低く読みます。機器は1つの温度で校正されています。ビール用の輸入比重計は20 °Cが多く、アメリカ製には15.6 °C(60 °F)のものもあります。日本のJIS規格の浮ひょうは15 °Cです(下で詳しく説明します)。それ以外の温度で測ったら補正が必要です。
既定値を信用する前に、本体か説明書を確認してください。校正点の想定が4 °Cずれると比重1ポイント分の誤差になります。
補正式
誤差はどれくらい
常温では小さく、仕込み温度では大きい。機器が20 °Cを想定しているのに30 °Cで読むと約2.6ポイント低く出ます。マッシュタンから出したての60 °Cでは10ポイント以上ずれ、マッシュが失敗したと錯覚するのに十分です。
実務上の注意
補正が信頼できるのは校正温度から20 °C程度まで。それを超えると外挿で、熱いサンプルには別の問題もあります。麦汁はまだ変化しており、シリンダーで冷めるにつれ読み値が動き、ガラス管に熱い液体を入れるのはそもそも良くない。できるだけサンプルを冷やし、補正は最後の数度に使ってください。
日本の浮ひょうは15 °C基準
JIS B 7525-3(浮ひょう型比重計)の標準温度は15 °Cです。JIS規格に沿った国産の浮ひょうは15 °C基準です。一方、ビール用として輸入される比重計は20 °C校正のものが多く見られます。上の計算機の「校正温度」には、手元の浮ひょうの本体や箱に書かれた温度を入れてください。
校正温度を取り違えると、それだけで結果がずれます。同じ読み値でも次のとおりです。
「15/4 °C」と「20/20 °C」の違い
JISの浮ひょうの比重は「15/4 °C」、つまり試料を15 °Cで測り、4 °Cの水を1とした比です。ビール用の比重計や、このサイトのプラート換算(ASBC式)は、同じ温度の水を1とする比重を前提にしています。15 °Cの水は4 °Cの水より約0.09%軽いので、同じ液でも15/4 °C目盛のほうが約0.9ポイント低く出ます。
ABVのようにOGとFGの差を取る計算では、この差はほぼ打ち消し合うので気にしなくて構いません。プラート値や発酵度を他の醸造所・文献の数字と比べるときは、どちらの基準の比重計で測ったかをそろえてください。
日本酒度計・ボーメ計との関係
清酒の現場で使う日本酒度浮ひょうやボーメ計も、中身は比重計です。目盛の付け方が違うだけで、どちらも15 °C・15/4 °C基準の比重と次の式で行き来できます。
- 日本酒度 +5 → 比重 0.9966
- 日本酒度 ±0 → 比重 1.0000
- 日本酒度 −10 → 比重 1.0070(ボーメ 1.0)
- ボーメ 5 → 比重 1.0359(日本酒度 −50)
ビール用の比重計しか手元にないときや、蔵の記録と自分の測定値を並べて見たいときは、この式で換算できます。
出典:JIS B 7525-3:2018「浮ひょう―第3部:浮ひょう型比重計」、国税庁所定分析法(清酒・日本酒度)。