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比重計の温度補正

比重計は校正された温度でしか正確ではありません。それ以外の温度で取った読み値を補正します。

なぜ重要か

比重計は液体の密度に応じて浮き、液体の密度は温度で変わります。温かい麦汁は密度が低いので比重計は深く沈み、低く読みます。機器は1つの温度で校正されています。ビール用の輸入比重計は20 °Cが多く、アメリカ製には15.6 °C(60 °F)のものもあります。日本のJIS規格の浮ひょうは15 °Cです(下で詳しく説明します)。それ以外の温度で測ったら補正が必要です。

既定値を信用する前に、本体か説明書を確認してください。校正点の想定が4 °Cずれると比重1ポイント分の誤差になります。

補正式

SG_true = SG_read × Q(T_read) / Q(T_cal) Q(t) = 1.00130346 − 1.34722124×10⁻⁴·t + 2.04052596×10⁻⁶·t² − 2.32820948×10⁻⁹·t³ t は °F

誤差はどれくらい

常温では小さく、仕込み温度では大きい。機器が20 °Cを想定しているのに30 °Cで読むと約2.6ポイント低く出ます。マッシュタンから出したての60 °Cでは10ポイント以上ずれ、マッシュが失敗したと錯覚するのに十分です。

実務上の注意

補正が信頼できるのは校正温度から20 °C程度まで。それを超えると外挿で、熱いサンプルには別の問題もあります。麦汁はまだ変化しており、シリンダーで冷めるにつれ読み値が動き、ガラス管に熱い液体を入れるのはそもそも良くない。できるだけサンプルを冷やし、補正は最後の数度に使ってください。

日本の浮ひょうは15 °C基準

JIS B 7525-3(浮ひょう型比重計)の標準温度は15 °Cです。JIS規格に沿った国産の浮ひょうは15 °C基準です。一方、ビール用として輸入される比重計は20 °C校正のものが多く見られます。上の計算機の「校正温度」には、手元の浮ひょうの本体や箱に書かれた温度を入れてください。

校正温度を取り違えると、それだけで結果がずれます。同じ読み値でも次のとおりです。

読み値 1.048、サンプル温度 25 °C 校正 15 °C → 1.0501(+2.1) 校正 20 °C → 1.0492(+1.2)

「15/4 °C」と「20/20 °C」の違い

JISの浮ひょうの比重は「15/4 °C」、つまり試料を15 °Cで測り、4 °Cの水を1とした比です。ビール用の比重計や、このサイトのプラート換算(ASBC式)は、同じ温度の水を1とする比重を前提にしています。15 °Cの水は4 °Cの水より約0.09%軽いので、同じ液でも15/4 °C目盛のほうが約0.9ポイント低く出ます。

同じ麦汁 同温の水基準 1.050 → 12.39 °P 15/4 °C 基準 1.0491 → 12.17 °P

ABVのようにOGとFGの差を取る計算では、この差はほぼ打ち消し合うので気にしなくて構いません。プラート値や発酵度を他の醸造所・文献の数字と比べるときは、どちらの基準の比重計で測ったかをそろえてください。

日本酒度計・ボーメ計との関係

清酒の現場で使う日本酒度浮ひょうやボーメ計も、中身は比重計です。目盛の付け方が違うだけで、どちらも15 °C・15/4 °C基準の比重と次の式で行き来できます。

日本酒度 = 1443 × (1/比重 − 1) 比重 = 1443 / (1443 + 日本酒度) ボーメ度 = 144.3 × (1 − 1/比重) 比重 = 144.3 / (144.3 − ボーメ度) 日本酒度 = −10 × ボーメ度

ビール用の比重計しか手元にないときや、蔵の記録と自分の測定値を並べて見たいときは、この式で換算できます。

清酒・もろみの温度補正には使わないでください。この計算機の補正式は水の熱膨張をもとにしたもので、アルコールをほとんど含まない糖液(麦汁など)向けです。アルコールを含む液は温度による密度変化が水より大きく、国税庁所定分析法では日本酒度の温度補正に専用の補正表(第1表)を使うよう定めています。酒税の申告や製品表示に使う値は、所定分析法に従って測定してください。

出典:JIS B 7525-3:2018「浮ひょう―第3部:浮ひょう型比重計」、国税庁所定分析法(清酒・日本酒度)。

日本国内での注意:アルコール分1%以上の酒類を免許なしに製造することは酒税法で禁止されています。本ツールは酒類製造免許を持つブルワリー、および1%未満の飲料を製造する方向けの計算ツールです。