なぜ読み値がずれるか
屈折計は液体が光をどれだけ曲げるかを測り、溶けているものが糖だけだと仮定してBrixで表示します。発酵後のビールに溶けているものの多くはエタノールで、グラムあたりの屈折効果は糖よりずっと強い。機器はそれを区別できないので、実際より高い比重を報告します。しばしば大幅に。
発酵前の読み値は信頼できます。発酵開始後は補正が必要です。
麦汁補正係数
屈折計はショ糖溶液で校正されています。麦汁はショ糖ではないので、発酵前の読み値でもわずかに高めです。麦汁補正係数で割って修正します。
一般的な値は1.02〜1.06で、1.04が妥当な既定値ですが、あなたの係数は機器の特性なので測るべきです。発酵前の同じ麦汁を比重計と屈折計で測り、比重計の値をBrixに換算して、屈折計の値をそれで割ります。以後その数値を使ってください。
Terrillのモデル
Sean Terrillが実測データに当てはめたものです。どちらも補正後の初期Brixと最終Brixから比重を返します。
一般に3次式の方がよく合います。どちらも終末比重付近(見かけの発酵度60%以上)で最も信頼でき、発酵初期では大きく外れます。発酵途中の数値が必要なら比重計を使ってください。
屈折計の本当の用途
シリンダー1本分ではなく2滴で測れるので、煮沸前比重の確認、スパージ中のランニングの追跡、発酵が止まったことの確認には最適です。最終的な決定値には向きません。それはサンプルを取って比重計を浮かべてください。
Brixの基準温度と自動温度補正
Brixの目盛は、20 °Cのショ糖溶液を基準にしています。自動温度補正(ATC)付きの屈折計なら、測定温度による補正は機器が行います。ただし補正できる温度範囲は機種ごとに決まっているので、取扱説明書で確認してください。ATCのない機種は、サンプルを20 °C付近まで冷ましてから測るのが確実です。
仕込み中の熱い麦汁をそのまま垂らすと、プリズムの上で冷めながら蒸発して、読み値が高めに出ることがあります。サンプルを少し冷ましてから載せ、目盛が落ち着いてから読んでください。
日本酒・焼酎のもろみに使えるか
この計算機の補正(Terrillのモデル)は、ビールの実測データに当てはめたものです。清酒もろみや焼酎もろみは、糖の組成も、到達するアルコール分もビールとは大きく違うため、このモデルで最終比重を求めることはできません。値が出ても根拠のない数字になります。
清酒もろみの経過は、浮ひょうで測るボーメ(または日本酒度)とアルコール分で追うのが一般的です。屈折計が役に立つのは、発酵が始まる前の糖化液や麦汁の濃さを手早く確かめる場面です。